年に一度の香水の祭典、サロンドパルファン2018が今年も開催されました。常設メゾンも限定フレグランスを販売し、また、日本初上陸のメゾンもコーナーを構えます。
今年の新メゾンは、パリのマレに店舗を置く「パルルモアドゥパルファム」、クリスタルガラスブランドとして有名な「ラリック」、旅をテーマに各地の風景を香りにした「エラケイパルファム」、そして、今回ご紹介する、日本発のフレグランスメゾン 『トバリ』 でした。
TOBALI(トバリ)

こちらがサロンドパルファンでのTOBALIのスペースです。狭いスペースに様々なメゾンが並ぶ中、TOBALIのスペースは、人垣ができており、試香するにも待たなければいけないほどの大盛況。
白いキャップ、白いボトルで、香水のジュースを見せないという珍しいスタイルに、ますます中の香りが気になります。
日本発のフレグランスメゾンでありながら、先に海外でこのメゾンの香水が高く評価され話題になっており、満を持してこの度、日本に再輸入されたという、異色のメゾンです。
TOBALIとは帳(とばり)のことを指し、外からは見えない、"秘める美"を持った香りを創造するというコンセプトのもと名づけられたとのこと。
帳とは本来、外から中が見えないようにするもの。内側から色気を引き出し、静かに、繊細な香りをモットーとしています。
SMOKE FLOWER

こちらは "SMOKE FLOWER" というTOBALIの中で、現在唯一のフローラルメインのフレグランスです。
モチーフにされたのは「花魁」。
まさに女性の中の女性、帳というブランドネームにも相応しい、不思議な魅力と謎に包まれた花魁から着想を得たものです。
フラワーなのにスモーク?と頭にはてなマークを浮かべていると、販売員さんから直接お話を聞くことができました。
この花魁とは、吉原で最も名の知れた高尾太夫をイメージし、華やかなバラとすずらんに、おしろいのパウダリーノート、そして煙草を燻らせる姿を、タバコやクローブで表現しています。最後には沈香、樹脂がほんのりと香り、そして消えてゆきます。
持続はあまり長くはありませんが、変化の様子がおもしろく、ふわりと香る度に当時の遊女たちに思いを馳せます。
時の権力者や富豪の相手をする華やかな場面とは裏腹に、遊女たちは吉原から出ることを禁じられていました。
高く大きな門が夜になると閉まります。高い教養、美貌を持つ彼女。しかし、その大門から出られるのはごくわずか。
毎日、その閉ざされた闇にも光にも見える空間で何を思ったのか。華やかな世界は閉ざされた世界。
この二面性を香りで表現していると感じました。
今回はTOBALIのSMOKE FLOWERをご紹介しましたが、他にも日本独自のフレグランスをローンチしているので、次回、紹介いたします。