TOBALI とは
『TOBALI』は、日本発のフレグランスメゾン。敢えて日本からではなく、海外からローンチを始めました。海外から高い評価を受けており、2018年のサロンドパルファンで満を持して日本に再輸入。
日本の香水メゾンだからこそ表現できる、日本の風景や、内に隠された魅力を持っており、香りで二面性(外と内、見た目と中身)を表現し、香水を纏う人の色香を引き出します。
山口小夜子という女性とは
WHITE STORAGE "白い空間"。
こちらの香りは公式サイトにこそ、その名は明かされていませんが、1970年代~1980年代にかけて、世界のトップモデルとして活躍した日本人モデル、山口小夜子をモデルとして創り上げられたフレグランスです。
漆黒の髪は前髪をまっすぐ切り揃え、その白い肌は日本人形のように滑らか。切れ長の目を強調するように引かれた黒いアイライン。美しい瞼にはほんのりと紅がさされ、果たしてこの人は人間なのか、人形なのか。迷ってしまうほどの迫力を持ちます。
彼女の活躍をきっかけに、今まで美の基準が西洋にあったのに対し、彼女は「日本の美」を発信するパイオニアになっていました。
ヨーロッパでSAYOKOブームが巻き起こり、彼女を模したマネキンがショーウィンドウを飾ったといいます。170cmというモデルにしては低い身長ながら、パリコレの常連となり、いつしか彼女は「東洋の神秘」という異名を持つことになります。
日本でも資生堂がミューズとして彼女を起用し、はっと目を引く広告が出来上がっています。
そんな圧倒的な「美」を持つ彼女の内面に迫った映画が『氷の花火』です。モデルとして、表現者として、活躍を見せる一方で、彼女の内面は謎に包まれていました。

映画では、彼女が無邪気に笑う姿、純真さ、そしてトレードマークの切れ長の一重は実は一重ではなく、本当は大きな丸い目を持っているが、敢えて切れ長に見せていたという事実が明かされています。
「自己をなくし、無になる。洋服はわたしをどこへでも連れて行ってくれる」
服や表現に対する、並々ならぬ精神。純真で無垢、少女のようでありながら、美を超える美へと挑戦する姿勢。
こんな類稀な女性をどんな香りで表現したのか...
WHITE STORAGE

意外にもトップは弾けるような柚子の香りで始まります。柚子らしい、甘みを含んだ爽やかな、少しすっぱい香り。ほんのりとスパイスの香りがしますが、それは隠し味程度。
それはふっと飛んでゆき、今度はインセンス(お香)とやわらかな木の香りがします。濃厚でクリーミーな「東洋っぽい」サンダルウッドではなく、私たち日本人が慣れ親しんだ、透明感のある、軽い「白檀」の香りです。それがいわゆる「お寺の香り」のような凡庸な香りでないのは、下支えしている大地のようなベチバーやスパイス、アンバーの香りゆえかもしれません。
50ml 12,960円
100ml 16,200円
海外から見た「日本の香り」はたくさん販売されています。様々なメゾンから柚子を使ったり、竹を使ったり、白檀を使ったり...そんな香水はたくさんローンチされてきました。しかしそれらはどうしても「何かしっくりこない」と感じてしまいます。それは外から見た日本の姿であり、内(日本人)の目から見た日本の香りではないからかもしれません。
TOBALIは日本人が立ち上げたメゾン、真に日本に染まった香水がやっと創られたと感じました。そしてそれが海外で評価されたことは、日本のフレグランスメゾンに勇気を与える出来事ではないでしょうか。
日本の美、山口小夜子さんをモデルにした "WHITE STORAGE" 。TOBALIが日本の美を香りで表現した、傑作といえます。